家族の成長を見守る
地域のあたたかな眼差し
上平和亨さん・琴美さん・ゆらりちゃん
赤平市内唯一の動物病院である「あかびら動物病院」を営む上平さんファミリーは、2013年11月に埼玉県より移住。2018年3月には待望の長女、ゆらりちゃんが誕生し、夫婦そろって子育てに奮闘中。地域の温かさを感じる日々と話します。
新しい家族が増えた5年目の春、
娘には北海道らしい名前をつけました。
「『シカやキツネを診ることになるかな?』なんて、話をしていたんです(笑)」
そう振り返るのは2013年11月に赤平市に移住した上平さん夫婦。獣医師であるご主人、和亨さんは市内で動物病院を営み、奥様、琴美さんは動物看護師として和亨さんを支えています。二人の間には長女、ゆらりちゃんが誕生したばかり。北海道の大地のように、おおらかに、ゆったりと育ってほしいという願いがその名前に込められています。
和亨さんは東京生まれ、東京育ち。
独立開業の夢を叶えるために
夫婦で選んだ「地方移住」という選択肢。
和亨さんは東京生まれ、東京育ち。琴美さんが生まれたのは札幌ですが、幼少期に移り住んだ栃木県で高校生まで過ごします。二人は埼玉県内の動物病院で勤務していたころに知り合い結婚。間もなく和亨さんは獣医師として独立することを考え、開業の地は「東京以外」に定めたといいます。
「東京近郊は動物病院へのニーズも多いけど、ライバルも多いですから。独立後の経営のことを考えると新規参入は簡単ではないと考えました。私は東京出身ですが、人が多くて、どこへ行っても混み合っている感じはあまり好きではなく…。妻も同じような考えを持っていたようで、どこか地方に移住して病院を開こうかという意見に、意外とあっさりまとまったんです」と和亨さん。
琴美さんも「子どものころによく引っ越しをしていたせいか、新しい土地に住むことがキライじゃないんです。むしろ引っ越しは好きなほう(笑)。どんな土地でもやっていけるタイプなので、(移住に)まったく抵抗なかったんです」と笑います。
来てみて安心!
整った生活環境に移住を即決しました。
「東北や北海道のような地方の都市」という漠然としたイメージはあったものの具体的な候補地は定めていなかったという二人。そんな時、獣医師用の求人サイトの中で赤平市での募集に目が留まりました。
和亨さんいわく「ここで病院をやっていた先生が岩見沢に新しい病院を開くことになり、運営を委託したいという募集でした。委託というのは『雇われ店長』のようなものですね。当初考えていた独立開業とはやや違いますが、病院に住居が併設されているから体ひとつで移住ができるし、患者さんも引き継げるので仕事にも困らない。これは良い条件だと思いました。ただ、『赤平ってどこ?』というだけで(笑)」
初めて赤平を訪れたのはそれから約2週間後だったと琴美さん。
「来たのは6月だったかな。来てみたらすぐ目の前にスーパーもコンビニもあり、生活には困らなそう。『ここでいいじゃん!』と移住を決めました」
一般的に動物病院が必要とされるのは人口一万人あたりに1軒とされていて、「まちの規模的にも、ちょうど良かった」と和亨さんは説明します。
ある意味、楽観的とも言えるほど移住に前向きだった二人ですが、心配なことはなかったのでしょうか?
「父は北海道の長万部町出身なので、赤平に行くと言った時は『なんでそんな田舎に行くんだ』と反対されました。ただ、開業してやっていきたいという想いを伝えると、夢があっていいと理解してくれました(琴美さん)」
「冬の厳しさがどの程度なのかと心配していましたが、住宅が北国仕様になっているので、冬場の室内は東京より暖かいです。最初はおっかなびっくりだった雪道の運転も4年目になり、だいぶ慣れてきました(和亨さん)」
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獣医師であるご主人、和亨さんは市内で動物病院を営んでいます。
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奥様、琴美さんは動物看護師として和亨さんを支えています。
子どもが生まれたことで
「頼れる親戚」が急に増えた気分です。
2018年3月にゆらりちゃんが誕生し、3人家族となった上平家。赤平での子育てについて琴美さんは次のように語ります。
「移住してしばらくは仕事中心になると考えていたので、当初は子育ての施策にまでは目を向けていませんでした。でも、妊娠が分かって詳しく調べてみると、高校卒業まで医療費がかからないなど、サポート体制が整っていることを知り、このまちを選んで良かったと改めて思いましたね。赤平には産婦人科はないので、妊娠中は旭川の病院に通っていました。帝王切開だったので、出産の際も慌てることもなく、予定通り産むことができました」
和亨さんも「子どもが生まれてからは地域の皆さんがいろいろと気を使ってくれるようになりました。うちの病院を利用してくれる患者さんたちも『何かあったら子どもの面倒を見るから!』とよく言ってくれるんです。子どもの預け先には困らないですね(笑)。ご近所の皆さんとこういうお付き合いができるのも、赤平ならではかなと感じています」と赤平での子育て事情を話してくれました。
実は和亨さんは、獣医師になる前に10年余り塾講師をしていたという異色の経歴の持ち主。現在も病院の横に学習塾を開業し、獣医師と塾講師という二足のわらじで活躍しています。
塾に通っている子どもたちを介して地域の方々との交流が生まれることも少なくないと言う和亨さん。
「市役所の方に誘われてバレーボールのチームにも参加しているんです。病院と塾とバレーボールで忙しく、『ぜんぜん帰ってこない』と妻には怒られてしまうのですが…(苦笑)」
地域の人々の温かな目に見守れながら、家族ともども成長していきたい。
きれいな水と空気、おいしい食べ物。
子育てにピッタリの環境です。
東京で暮らしていたころは排気ガスやハウスダストに過敏でアレルギー気味だったという和亨さんですが、赤平に移住してからは「ずいぶん症状が落ち着いた」のだそう。
「これから子育てをしていくことを考えると、空気と水がおいしくて、食べ物が安全なのはうれしいことですね」と琴美さん。ゆらりちゃんの成長に合わせて地域の子育てサロンなどを活用したり、ママ友のコミュニティにも参加していきたいとのこと。地域の人々のあたたかな目に見守られながら、家族ともども成長していきたいと笑顔で語ってくれました。
あかびら動物病院 | |
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住所 | 北海道赤平市東大町3丁目13番地 |
電話 | 0125-32-2780 |
URL | http://あかびら動物病院.com/ |
【2019年03月11日更新】